知的障がいや認知症の方、子どもの知育等のための「夢育てコインケース」の開発
インクルーシブな社会の実現のために、障がいのある人自身が夢や希望をもち、主体的に社会に貢献することを目指すための事業を展開する。
https://yume-sodate.com/
活動概要
知的障がい当事者が、主体的に生活することをサポートするコインケース開発において、デザインを完成させ、大量生産のための金型製造し、量産体制を確立させることが課題だった夢育てコインケース。
プロダクトデザイナーのプロジェクト参加や、クラウドファンディングの実施・成功によって、コインケースの製造までが実現した。
2022年6月には、製品名は「ニコニコイン」に決定し、全国にいる未来の当事者ユーザーに向けて広報・販売フェーズに入っている。
背景
知的障がい当事者が日々認知向上に努めるなかで、金額の大小(数字)はわかるものの物理的なお金の認知が難しい(硬貨が扱えない)ことから、電子マネーや千円札のみで買い物をし、チャージ不足でトラブルになったり、硬貨を大量に貯め込んでしまう人が相当いるという現状がある。
そこで当事者の自立支援のために、「お金を数えられるコインケース」を企画・開発。コンセプトデザイン、モック製造を終えていたが、「ダサい、大き過ぎる」との指摘を受け、デザインの改良と量産体制を確立させる必要があり応募した。
モニタリングで高評価! デザインが完成
当初子どもの手には大きすぎるといった課題があったが、プロダクトデザイン・ディレクションを得意とする「DESIGNITO」によるデザインによって、硬貨が落ちにくく取り出しやすいコインケースが完成した。
一円玉、十円玉、百円玉と順番に整理でき、「種類×枚数」の認識のしやすさによって金額の認知が容易でありながら、異なるサイズでも互い違いに配置することで折りたためる財布としても持ち運び可能な製品を実現した。
わずか3日で目標額達成! 362万円の支援を受けたクラウドファンディング
多くの障がい当事者に届けるには大量生産が必要であり、金型の製造費用のためにクラウドファンディングに挑戦。
当初の目標100万円はわずか3日で達成し、最終的にはネクストゴール350万円も超えて362万4,000円の支援が集まった。支援者は39都道府県、371名にも及び、全国からの応援と期待が可視化されたうれしい結果となった。
クラウドファンディング実施によって、受注数が確定。金型発注が可能に。
金型の材質には製造個数が影響する(個数に比例して硬度を上げる必要がある)なかで、クラウドファンディングを実施し個数の目処がたち、材質等の仕様が確定。現実的な発注が可能になり、量産体制を確立できた。
本当に必要としている人に届けるために。
東京都中小企業振興公社の支援を得て、子どもの福祉用具展「Kids Festa」への出展や、クリエイティブの制作、横浜市青葉区自立支援協議会や特別支援学校、キッズ・マネー・スクールなどで紹介を実現している。コインケースを本当に必要としている人に届けるべく、代理店販売のスタートを検討している。
東急株式会社所属。経理部門にて税務申告から会計システム開発まで幅広く担当したのち、管理会計、経営企画、M&A、分譲事業、海外事業、新規事業開発に従事。経営計画・事業戦略策定、IT開発が得意分野。