子どもの機会格差を解消する。既存食品流通網を活用したフードバンク事業と、保育園受取型ネットスーパー事業の実証実験
「子どもの機会格差を是正すること」を目的に、2022年に設立したフードバンク兼業型ネットスーパー。
フードバンク事業の要となる物流設備を、ネットスーパー事業によって整えるという事業形態をとり、持続可能な形で事業を社会に実装することに挑戦中。アセットを共有する2つの事業の運営により、“共働きによる子どもと過ごす時間の減少”と、“子どもの貧困”という2つの課題を解決する。
活動概要
【1】既存食品物流を活用した寄附品の流通実験を行い、成功。実験は、農協や市場、食品卸、食品メーカーや水産仲卸と連携して行い、ECサイトを活用して寄附商品の在庫調整を不要にできるかも確認。事後アンケートも好評で、実験の様子は大手含む計5件の媒体掲載も実現した。
【2】保育園受け取り型モデルの実証実験を行い、成功。世田谷区内の保育園を対象に、地域の飲食店やB型就労支援の食材を扱い、施設配達には地域の新聞販売店と連携。次年度の取り組みについて世田谷区の商業化・保育課との連携した議論を開始できた。
背景
「フードロスを活用しながら、困難を抱える子育て世帯に食支援を行うフードバンク事業」を実現するには、①寄附する側にとっての経済合理性の壁と、②寄附を受け取る側の受け入れ・配送力のばらつきによるマッチングの不成立という課題があった。
そこで、「ネットスーパーとフードバンクの事業を両立」させ、事業アセットを兼用することができれば、フードバンクの課題を解決できるという仮説と、「保育園受け取り型モデル」を検証するための実証実験の実施を目指しSETA COLORに応募した。
東京新聞1面も飾った、既存食品物流を活用した流通実験
三浦市農協、東京都中央卸売市場(世田谷市場)、食品卸、食品メーカー、水産仲卸と連携し、野菜・冷凍食品・鮮魚の寄附の実証実験を行った。ECサイトを活用することで、受け取り世帯は自身でほしいものを選べて、配布団体は寄附商品の事前収集・調整が不要になる方法を実験したところ好評に。
参加企業・団体が、この方法なら寄附量を増やせるを解凍し、翌年以降の取り組み発展について議論をスタートできた。また、NHKニュースウォッチ9の特集、東京新聞1面、日本農業新聞、Webメディア等の媒体露出も実現した。
約9割が正式開始を希望! 保育園受取りの実証実験
区立松沢保育園、私立上北沢こぐま保育園を対象に、園隣接地で受け取り型ネットスーパーを運用したところ、利用者はのべ39名という結果に。地域の飲食店と連携して開発したお惣菜や、B型就労支援事業所にて製造されたパンなどを取り扱い、施設配達に関しては地域の新聞販売店と連携。
事後アンケートでは、87.1%が「とても利用したい/利用したい」と回答するなど、正式開始を望む声を収集することができ、来年度の取り組みについて世田谷区商業課・保育課と連携に関する議論をスタートした。
フードバンクは全国へ、ネットスーパーは区内で事業開始を目指して
フードバンクについては、中央卸売市場を利用した野菜の寄附モデルを確立させ全国展開を目指し、加工食品も各社と実証実験を重ねて実装に向けて準備を進める。
ネットスーパーは、世田谷区内で2023年度中の正式な事業開始を目指し、区内の保育園8カ所程度でまずは開始しながら、展開規模を拡大していく予定。
プロモーションプランナー、認定ファンドレイザーとして、中小企業の広報PR、非営利団体のファンドレイジングの伴走支援を行う。東日本大震災をきっかけに立ち上げた一般社団法人あゆみの代表理事も務める。